2022年のサッカーW杯に続き、2023年は野球のWBCで盛り上がりましたね!
子どもが野球をやっていれば、試合をビデオカメラで撮影する機会があると思います。
今回は、1台のカメラで野球の試合を撮影するときのコツをご紹介します。
プロのカメラマンはこう撮る
野球中継のカメラって何台あるの?
プロ野球や高校野球のテレビ中継を見ていると、撮影しているカメラが1台ではないことはすぐ分かると思います。いったい、何台ぐらいのカメラを使っているのでしょうか?
中継するテレビ局や球場にもよりますが、実は、10台以上のカメラで撮影していることが多いんです。
得点表示板のあるバックスクリーン下に数台、両ベンチの横に数台、バックネット裏(キャッチャーの後ろ)、客席の上から…という感じです。
もちろん、すべてのカメラがボールを追いかけるわけではありません。選手の表情をアップで狙うカメラ、ランナーを追いかけるカメラ、ベンチの様子を撮るカメラ、観客だけを狙うカメラ…。それぞれのカメラが役割をもっていて、その映像を切り替えて(スイッチング)中継されているんです。
取材ではカメラ1台のことも
ですから、1台のビデオカメラでテレビ中継のように撮影することはできません。
カメラが1台なら、それに見合った撮影の仕方があるんです。
実際、ニュースの取材で野球の試合を撮るときは、テレビカメラ1台で試合を撮影することも多いです。私は沖縄のテレビ局でカメラマンをしていますが、高校野球の地方大会の撮影なんかは、カメラ1台だったりします。
もちろん、機材はプロの機材を使っているため、家庭用のビデオカメラのより性能は良いですが、「1台なりの撮り方」というのは参考になるかと思うので、少しご紹介したいと思います。
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カメラマンが撮影するときは…
まず、撮影位置ですが、1台のカメラで試合展開を追わないといけない場合は、基本的にはバックネット裏(キャッチャーの後ろ)から撮影します。そこからだと、球場全体が見えるからです。
1台のカメラで野球の試合を撮影するのは、けっこう大変です。以下、だいたいの流れです。
- 試合前の練習
- 観客
- スコアボード(対戦チーム、オーダー)
- 試合開始(整列、礼)
- ピッチャー(顔・投球練習)
- バッター(顔・素振り)
- 投球・打撃
- 打球(ヒット)
- ランナー(表情)
- 観客(盛り上がり)
- ベンチ(盛り上がり)
- 打たれたピッチャー(表情)
- ランナー(状況説明)
- 次のバッター(顔)
以上が、1台のカメラで試合を撮影する流れです。
⑥~⑬が1プレーで、これを繰り返します。もちろん、プレーによっては撮る優先順位が変わったりもしますが、だいたいこんな流れです。
どうでしょうか、撮るものがいろいろありますよね。このように、野球の試合は撮影すべき要素がいっぱいあって、忙しいんです。
「試合の流れ」≒「ボールの行方」
先ほどの例は、私たちプロが編集することを前提として撮影するときの流れです。では、プロではない人が1台の家庭用ビデオカメラで撮影するときは、どうすればいいのでしょうか。
プレー中はアップにしすぎない
まず、試合の流れを撮影するのであれば、プレー中は「アップにしすぎない」ということです。
野球はピッチャーがボールを投げて、それをバッターが打ち、守備が捕るスポーツです。
つまり、「試合の流れを追う」≒「ボールを追う」ということです。
プレー中に、表情を撮りたくてアップにしすぎると、打ったボールを追いかけることができません。ヒットだったのか、ファインプレーだったのか、何が起こったのか分からない映像になってしまいます。
ですから、プレーしているときはボールの行方を追いかけることができるサイズで撮影しましょう。
そのかわり、アップ(表情)はプレーの前後に撮ります。
投げる前のピッチャー(バッター)の表情→(ヒット)→打った後のバッターランナー(打たれたピッチャー)の表情、という感じです。
得点シーンは重要
たった今、「試合の流れを追う」とは「ボールを追う」ことだと言いましたが、例外があります。
それは「得点シーン」です。
当然のことですが、野球は得点数を競うスポーツです。試合の中で最も大事なのが、「ランナーがホームベースを踏む瞬間」だとも言えますよね。
ですが、ボールの行方を追っていると、得点シーンを撮り逃してしまうことが多々あります。
例えば、ランナー三塁のチャンスでヒットを打った場合、ずっと打球を追っていると、ランナーがホームベースを踏む瞬間は撮れません。そこは臨機応変、打球が外野へ飛んで「ヒットになった」まで撮ったら、すぐにランナーにカメラを向けて、得点の瞬間を撮ります。
これはとても難しいですし、撮る側も野球のセンスが必要です。なかなかうまくできるものではありませんが、少なくともピッチャーの投球前に「このシーンでは、次に何が起こるかな」と想像することが大切です。そうすれば、得点の瞬間が間に合わなくても、ランナーを出迎えるベンチの様子を撮れるかもしれません。
たまには冒険も
ときには、ボールの行方が追えなくなるリスクを知ったうえで、選手の表情をアップで撮ってもいいでしょう。
ピッチャーであれば、三振を取った瞬間の表情はアップで撮っていないと捉えられません。バッターも、打って走って塁上でガッツポーズ!なんてシーンは、アップで撮るからこそ迫力があります。あえて打球の行方を追わずに、冒険してみるのも一つの選択肢です。
撮影位置はケース・バイ・ケース
どこから撮影すればいいのかは、「何を狙うか」によって変わってきます。
バックネット裏
さっきもお話しした通り、1台のカメラで「試合を追う」という目的があれば、バックネット裏(キャッチャーの後ろ)から撮影するのが基本です。
何よりも、球場全体が見渡せます。そして、ピッチャーとバッターの距離(画面内の位置関係)が近いので、両者が大きく映った状態で撮れるからです。
横から(ベンチ横)
横の位置から撮る場合は、選手の表情がよく撮れます。右バッターなら1塁側から、右ピッチャーなら3塁側から狙えば、表情が見えます。
その代わり、ピッチャーとバッターの両方を画面に入れようとすると、両者の距離が離れていて、それぞれが小さく映ることになります。また、速い打球を追いかけるのが難しくなります。
センター・バックスクリーン
プロ野球中継などでよく見るのは、ピッチャーの後ろから撮っている映像ですよね。これは、センター(外野)の後ろにある得点板(バックスクリーン)のあたりから撮影しています。
当然、ピッチャーやバッターへの距離はかなり遠くなります。プロの機材なら遠くてもアップで撮影できますが、家庭用ビデオカメラでは撮影するのは難しいです。少しの風でも揺れてしまいますし、打球を追うのも難しくなるので、お勧めしません。
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撮影のコツ
頭の中で実況してみよう
1台のカメラではテレビ中継のような撮影はできませんが、頭の中で「実況」してみると、何を撮ればいいのか分かります。実際、私も1台のカメラで試合を撮影するときは、頭の中で実況して撮るものを整理しています。
例えば、ランナーが出ているとき、「さあ、ランナー2塁・1塁。迎えるバッターは〇〇。ピッチャー▲▲ピンチを切り抜けられるか!?」と頭の中で実況します。
それに合わせて「2塁ランナー」→「1塁ランナー」→「バッター」→「ピッチャー」と撮影すればいいんです!
「ピッチャー投げた!打った!三遊間を抜けてレフト前ヒット!2塁ランナー、3塁を蹴った!ホームイン!バッター〇〇タイムリーヒット!ピッチャー▲▲打たれました!」
「ピッチャー・バッター」→「打球」→「三遊間抜ける」→「2塁ランナー走る・ホームイン」→「1塁にいるバッター〇〇ガッツポーズ」→「盛り上がるベンチor応援団」→「悔しがるピッチャー▲▲の表情」
このように「実況」に合わせて撮影することで、撮るべきものをスムーズに撮ることができますよ!
三脚を使う
野球の試合を撮るなら三脚を使ってみましょう。
ずっと手持ちでもいいですが、長い時間ビデオを持ち続けるのは大変です。ただ、三脚を使ってボールを追うのはけっこう難しいものです。普段から三脚をできるだけ使って慣れましょう。
カードやバッテリーは充分に
カード(内蔵メモリ)とバッテリーは撮影をするうえで重要です。
試合前日までにカード(内蔵メモリ)の残量を確認しましょう。残りが少なければ、これまでの撮影して保存されている映像データをパソコンのハードディスク(HDD)などにコピーして、空き容量を確保しておきましょう。
バッテリーも前日までに充電します。予備も充電しておきましょう。
まとめ
1台の家庭用ビデオカメラでテレビ中継のような撮影はできませんが、頭の中で「実況」しながら撮影すれば、「何を撮ればいいのか分からない…」と迷うこともなくなります。
また、ピッチャーが投げる前に「この場面では、次に何が起こりえるだろう…」と想像することが大切です。
ぜひ試してみてくださいね!
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